お年寄りと実際に生活を共にしていると、高齢者の思いもかけない行動にあらためて気付かされることがあります。
血圧計の使い方もその一つ。
若くて体もよく動く人には何でもないことが、お年寄りにとっては大ごとだったりするのです。
そんなお年寄りに血圧計を贈るときに留意して置きたいことをまとめます。
高齢者の3人に2人は高血圧
サイレントキラーと呼ばれる高血圧の人はとても多くて、日本では4000万人もの人が高血圧と推定されているそうです。
更に高齢者の場合は3人に2人が高血圧になっています。
高血圧は心臓や血管に負担をかけて、最悪の場合、脳卒中・心筋梗塞・心不全などの病気を引き起こします。
この様な背景もあって血圧計を保有しているお年寄りは多いと思います。
我が家のおばあちゃんも血圧計を持っています。
でもおばあちゃんが血圧を測定している姿を見たことがありません。
おかしいなと思っていたのですが、血圧を測らない理由が最近明らかになったのです。
その理由とは。。。。。
血圧計を買う前にこれだけは知っておきたい基礎知識
血圧計には医療機関で使用される本格的な業務用のものと一般家庭での利用を前提とした家庭用血圧計があります。
私たちが使用する機会の多い家庭用血圧計に関して、知っておくべき基礎知識をまとめました。
血圧計の計測方式
血圧計には2種類の計測方式があります。
計測方式の違いは血圧計の使い方にも大きく影響するので購入前には2種類の計測方式の違いをしっかり理解しておくことが大切です。
血圧計には「手首式」と「上腕式」の計測方式があります。
更に上腕式の計測方式は「腕帯巻き付けタイプ(カフ式)」と「筒形タイプ(アームイン)」に分類されます。
以下では血圧計のそれぞれの計測方式についてまとめます。
手首式血圧計の特徴
手首式血圧計は手首に巻く形で血圧を測定します。
お手軽に血圧測定できることが最大のメリット。
測定する場所が手首なので上着を脱がなくても測定できます。
また小型化が進んでいるのも特徴で携帯性が良く、収納場所にも困りません。
ただ、血圧を測定するときにはちょっと注意が必要です。
それは手首を心臓の高さに合わせるということです。
上腕式血圧計の特徴
上腕式血圧計は「腕帯巻き付けタイプ(カフ式)」と「筒形タイプ(アームイン)」に分類されます。
どちらのタイプでも上腕式血圧計で血圧を測定するときは上着を脱いで腕を露出しなければなりません。
医療機関で血圧を測定する状態をイメージするとわかりやすいと思います。
上着を脱ぐので、気温が低いときは気が進まないかもしれないですね。
また医師は「上腕式」を勧めているという点も見逃せません。
測定結果は手首式も上腕式も変わりないのですが、医療の現場にいる医師は「上腕式」の血圧計を推奨しているのです。つまり血圧は上腕での測定が標準となります。
血圧計を選ぶ際にはこの点は十分に考慮する価値がありそうですね。
腕帯巻き付けタイプ(カフ式)
腕帯(カフともいう)という圧迫帯を腕に巻きつけて血圧を計測するタイプの血圧計です。
医療機関で看護師の方に血圧測定をして貰う時にやる方式です。
この方式が血圧測定の標準です。
腕帯を正しく巻かないと計測が不正確になってしまいます。
一人で測定するにはちょっと困難なタイプだと思います。
シチズン製の腕帯巻き付けタイプ(カフ式)血圧計です。
誰でもかんたんに正しく装着できるカフと見やすいディスプレイ。使いやすさを追求した血圧計。
筒形タイプ(アームイン)
筒状の腕帯に腕を通して血圧を計測するタイプの血圧計です。
筒状部分が固定されているので腕帯巻き付けタイプ(カフ式)のようにいちいち腕帯を装着しなくても測定できます。
腕帯の装着に自信のない人に向いているタイプと言えるでしょう。
筒状の分だけ本体が大きくなってしまいます。
収納や設置場所、携帯性の悪さというデメリットがあります。
テルモ製の筒形タイプ(アームイン)血圧計です。
測定の開始も終了もワンプッシュ。ボタンも大きめで見やすく操作しやすい設計です。左右どちらの腕でも血管音を測定できます。
腕帯(カフ)は消耗品
腕帯(カフ)は本来消耗品に分類される部品です。
定期的な交換が必要で、多くの血圧計では交換用の腕帯(カフ)をメンテナンス製品として別売りしています。
但し、手首式血圧計は腕帯(カフ)の交換が出来ないタイプが多いので購入前にはよく確認しましょう。
80歳を過ぎたおばあちゃんが血圧計を使わなくなってしまった理由
さて、上記でまとめた血圧計の基礎知識を前提に、ウチのおばあちゃんが血圧計を使わなくなってしまった理由を考えてみたいと思います。
おばあちゃんの持っている血圧計は「手首式」の血圧計です。
オムロンというメーカーの製品でとてもしっかりした作りの血圧計です。
おばあちゃんがオムロンの血圧計を選んだ理由は有名なメーカーだから。
確かにオムロンと言えば大きなメーカーでしっかりした製品を作ることにかけては定評がありますし、たくさんの種類の血圧計を開発しています。
一般家庭用だけでなく医療機関向けの血圧計も作るなど、信頼できる企業です。
メーカー選びに関するおばあちゃんの選択は正しいと思います。
ではなぜおばあちゃんはオムロン製の血圧計を使わなくなってしまったのでしょうか?
それは「手首式血圧計」ならではの特徴が影響していました。
おばあちゃんは手首式血圧計を手首に上手く巻けなかったのです。
手首式血圧計は手首にしっかりと腕帯(カフ)を巻いて測定をしないとエラーになってしまいます。
この手首に腕帯(カフ)を巻く作業が意外に難しいのです。
私も試してみましたが、高齢者ではない私が巻いても慣れないとエラーが出てしまうほどなのです。
高齢者は握力が弱いので、腕帯(カフ)を引っ張りながら装着するという作業が苦手です。
エラーが出ないように腕帯(カフ)を巻きなおして、何回も血圧測定することに嫌気がさして、いつの間にか血圧測定自体を諦めてしまいました。
せっかく買ったオムロン製の立派な血圧計が使われないままになってしまったのです。
まとめ:高齢者のための血圧計選び
80歳を過ぎた高齢者と生活を共にして、お年寄りの日常生活を目の当たりにしてみると高齢者特有の事情が良くわかります。
お年寄りのために血圧計を購入する際には血圧計の機能はもちろんですが、実際に使用する高齢者の事情を一番に考えてあげなければなりません。
どんなに高機能なデバイスでも使いこなせなければ無意味なのです。
ウチのおばあちゃんをモデルに高齢者向きの血圧計について考察すると、高齢者用血圧計に求める条件は腕帯(カフ)の装着が簡単であることに尽きます。
高齢者向けの家庭用血圧計としては上腕式の筒形タイプ(アームイン)血圧計が最良の選択だと言えるでしょう。
筒形タイプは他の形式に比べてお値段もお高めですし、何より広い設置場所が必要という難点があります。
でも、血圧は毎日測定してこそ意味のあるデータなので血圧測定は毎日の日課にして貰いたいのです。
手首式のようにコンパクトな血圧計は持ち運びに便利と言われますが、そもそも血圧計を持ち歩くという局面が考えづらいです。
例えば数日間の旅行に血圧計を持参しなければならないほど血圧に神経質になるような切迫した状況はあまり無いと思います。
小さく収納出来るという血圧計もありますが、血圧計は収納しなくていいです。
ちゃぶ台の上に出しっ放しにして、おばあちゃんの都合のいいときに血圧を計ってください。(本当は午前中に計測するのが正しいのですけどね。)
スマホアプリとの連携など、ここ最近の血圧計は目覚ましい進化をしています。
華やかな新機能に目を奪われがちですが、それを使う高齢者の都合に目を向けなければ本末転倒というもの。
特に一人暮らしのお年寄りへのプレゼントに血圧計をお考えの場合は、その使い勝手を良く吟味して製品を選んでくださいね。