日本の夏の風物詩ともいえる高校野球。毎年盛り上がりますね。
甲子園のイメージが強い高校野球ですが、甲子園で開催される大会は全国大会です。
地方大会を勝ち抜いたチームだけが甲子園に出場できるのです。
華やかな甲子園大会のみがクローズアップされがちですが、高校野球の本当の醍醐味は地方大会にあるのです。
高校野球ファンが密かに楽しみにしている選手権大会地方大会。
高校野球に興味はあるけれど野球場に行くことを躊躇っている人のために、その観戦の楽しみ方をお伝えします。
高校野球は夏の選手権大会が本番
高校野球の公式戦は意外に少なくて、秋季大会・春季大会・選手権大会と1年のうちに3大会しかありません。
高校入学後すぐに野球部に入部して、卒業するまでに経験できる大会は全部で8大会だけです。
ほとんどの球児にとって公式戦出場のチャンスは最上学年になって初めて手に出来ます。
それまでは背番号をもらうことも、公式戦に出場することも出来ません。
公式戦の中でも、夏に行われる選手権大会は彼らにとって高校最後の大会になります。
高校三年生の夏に行われる最後の公式戦が選手権大会なのです。
全ての高校球児たちはこの夏の選手権大会に目標を絞って毎日の厳しい練習を行い、万全の準備を整え臨んできます。
この夏大会で一度でも負ければ即引退。
もう野球をすることはありません。
夏の選手権大会とはそういう大会なのです。
秋季大会・春季大会・選手権大会とある高校野球の公式戦ですが、夏に開催される選手権大会は他の大会とは球児たちの思い入れが違うのです。
高校野球を観戦するなら、絶対に夏大会なのです。
高校野球選手権地方大会の開催場所
高校野球の地方大会はどこに行けば観戦できるのでしょうか?
それは高校野球連盟の各都道府県支部ホームページに記載があります。
開催される施設は市民球場や県民球場など、プロ野球も開催できるような立派な球場で行われることが殆どです。
高校球児にとってそのような球場で野球をできるのは滅多にない幸運なこと。
観客席も整った球場なので、試合観戦もしっかりと出来ます。
チケットの買い方と入場料
高校野球の観戦には入場料が必要です。(地方や球場によっては無料の場合もあるらしい)
ここでは地方大会でのチケットの買い方と入場料についてお伝えします。
高校野球 地方大会の入場料金について
高校野球を観戦するためには入場料金が必要です。
どの大会でも1,000円以下です(たぶん)。
一つの球場で一日に行われる試合は通常2試合、多いと3試合やるかなぁというペースで試合が行われます。
一度チケットを購入すれば一日中試合を観戦できますし試合途中で球場を出ても再入場可能なので、まぁお得と言えばお得です。
高校生の部活動である野球の大会で入場料を取ることについては賛否あると思います。
でもあの素晴らしい球場を使用できることを考えると、ある程度の運営費は仕方ないかなと感じます。
あまり知られていませんが、夏の選手権大会前にはどの球場も大勢の人員を割いて芝を整備したり、球場の設備を修繕したりと高校球児たちの最後の大会をサポートしているのです。
もし高校野球選手権大会地方予選を観戦する機会があれば是非外野の芝生を見てください。
綺麗に整えられた芝が素晴らしいですから!
高校野球 地方大会のチケットの買い方
高校野球の地方大会のチケットは当日券だけが販売されています。
チケットぴあなどで前売り券は販売されないので注意してください。
チケットは当日球場に行けば購入できます。
チケット売り場は球場に行けばわかるようになっていますが、簡易テントのような小屋のような建物でチケットを販売しています。
大会運営スタッフの大半は高校球児なのでチケットを販売しているのも高校生。モギリ(チケットの半券をちぎる人)も高校生です。
クリクリ坊主頭の高校球児が不慣れな手つきでチケットを販売している姿は微笑ましい。高校生たちはみんな一生懸命です。
場合によってはチケット購入のために、少し並ぶ必要があるかもしれません。
チケットを販売している高校生も、当日の朝になって初めて経験するチケット販売業務ですからちょっとしたことで手間取るのです。
心配な方は少し早めに球場に到着すると安心でしょう。
高校野球観戦にあると便利な持ち物
ドーム球場で開催されることが多いプロ野球と違って、高校野球が行われる球場に屋根はありません。
夏の大会などは炎天下に晒されて試合を観戦することになります。
試合時間は1試合で2時間程度が目安となりますが、試合内容によって随分と増減します。
プロ野球観戦にお決まりの売り子さんはいませんのでビールやアイスキャンディーを客席で購入することは出来ません。
球場自体にも売店はありませんし、交通の便が悪い球場だとコンビニエンスストアもありません。
プロ野球を観戦するつもりでいると不便な思いを感じるでしょう。
当日必要なものを球場近くで調達するのはちょっと不安なのですべて自前で持ち込むつもりでいた方が良いです。
特に夏の高校野球観戦にあると便利な持ち物リストをまとめます。
応援席でのエチケット
球場に入場したら観客席に座りますが全て自由席なので基本的にどの席に座っても構いません。
が、ベンチ付近の客席は避けましょう。その席は彼らの席です。
観客席には選手の保護者やチームメイトなど大勢の関係者がいて、とても忙しく働いています。
高校によっては応援団も大勢やってきます。
ベンチ付近の客席は関係者のための席なのです。
「入場料金を払ってんだからどこに座ろうと勝手だろう!」なんて無粋なことを言ってはいけません。
私のような第三者は遠くの客席で静かに観戦させて貰えればいいのです。
また、あまり応援団の近くにいると保護者の方々にお茶やお菓子を勧められることがあります。
応援に来てくれた方々に対する気配りで冷たい飲み物を用意しているのですが、恐らく夜遅くまで準備していたであろうそれらの飲み物は選手に近しい方々で召し上がってください。
有名校の試合は立ち見になることもある
高校生の部活動と侮っていると、客席が人で溢れることも良くあります。
有名な高校などの試合は満席になることも珍しくありません。
また球場に近い高校の試合も大勢の観客が集まる傾向にあります。
休祭日に開催される試合も要注意。
立ち見になることも珍しくありません。
夏の炎天下で行われる選手権大会の地方大会ですから、立ち見は辛いです。
所詮、高校生の部活動だろ?なんて考えは持たない方が賢明です。
ホームランボールを手にしたときの対応
球場によっては外野席にも観客を入れる場合があります。
私は高校野球を外野席で観戦していた時に、目の前にホームランが飛び込んできたことがあります。
それはもう本当に目の前に飛んできて、逃げなければ体に当たってしまうような、それほどの近距離に打球が飛んできました。
外野席で観戦する人はとても少なくて私の周辺に観客は誰もいなかったので、そのホームランボールは私が手にしました。
私が生れて初めて手にしたホームランボールは高校球児が放ったボールだったのです。
拾い上げたそのホームランボールは真っ白でとても綺麗な硬式球だったことが強く印象に残っています。
私がそのボールを見ていると、球場係りの高校球児がやってきたのでボールを手渡しました。
そのボールはホームランを放った打者にしっかりと渡されたことでしょう。
もし運よくホームランボールをキャッチ出来ても、そのボールはホームランを打った選手のものです。
ちゃんと返してあげましょう。
観客席にもある最後の夏
高校野球の主役はグランド内にいる球児たちです。
でも観客席に目を移すと、そこには大勢の応援団がいます。
吹奏楽部やチアリーディング部など、夏の日差しに晒されながらも必死に応援を続けています。
高校野球の陰に隠れていますが、この選手権大会に向けて練習を重ねて来たのは球児だけではありません。
吹奏楽部の生徒は夜遅くまで応援歌の演奏を練習しています。
チアリーディング部の生徒も毎日練習を重ねています。
夏の選手権大会は高校球児にとっての晴れ舞台ですが、応援をする吹奏楽部やチアリーディング部にとっても晴れの舞台なのです。
応援席の風景も間違いなく夏の高校野球の風景なのです。
球場に足を運んだ際にはどうか見逃さないように。
試合を終えた選手たちから目を離さない
プロ野球を観戦すると試合終盤になって席を立つ人がいます。
特に大差がついた試合では良く見られる光景ですね。
でも高校野球では試合途中で席を立つ観客はいません。
それは試合が終わって、全てをやり切った彼らを見届けるために客席の人々はそこに居続けるのです。
試合終了後、球児たちはグランドに出てきて応援席に向かって一列に整列します。
その光景はとても整然として静かな空気に包まれた不思議な景観に感じられます。
一列に並んだ球児たちは主将の掛け声とともに脱帽し客席に向かって一礼します。
その後、静かにベンチに帰っていきます。
この時、観客は背筋を伸ばして起立し拍手で選手たちを送るのです。
ここまでが高校野球の試合です。
もし高校野球を観戦に行く機会があれば、試合終了後の選手たちが応援席に向かって一礼する姿をしっかり見届けてあげてください。
夏の高校野球地方大会に感動してしまう理由
高校野球の大会はトーナメント方式なので、一度負ければその大会は終わりです。
高校3年生にとっての最後の大会になる選手権大会も他の大会と同様トーナメント方式です。
高校野球の夏の選手権大会はほとんどの高校三年生球児にとって人生最後の大会という位置づけで、選手たちもそのことを良くわかっています。
だから彼らは最後の夏に向けて相当な準備と努力を重ねています。
極限ともいえる状態に追い込みながらも、最終回が終わった瞬間に全てが終わり、引退を迎えるのです。
昨日まで寝食を惜しんで取り組んできた野球に唐突に終止符を打つその終わり方がとても潔く、ハッキリとした区切りがあって、野球が終わった翌日からは新しい進路に向かいます。
グランドには苦楽を共にしたチームメイトとの別れを受け入れられず泣き崩れる選手もいますが、どの選手も全力でやり切ったという表情を浮かべているのです。
彼らの厳しい練習に随伴したわけでは無くとも、彼らがどれほどの犠牲を払ってその場に立っているのか、そのことは容易に想像できます。
人生の中でも最も煌びやかな時間である高校時代を、毎日野球だけを必死にやり通した球児たちの最後の大会。
その場に居合わせることを許されるだけでも十分感動に値することなのだと感じます。
また今年も夏の選手権大会が開催されています。
私も仕事が手につかず困っている数多い高校野球ファンの一人です。