マンションから引っ越してきたばかりの頃、人生の中で木の枝を剪定したことなど一度もありませんでした。
しかし庭木はそんな家主の事情など無関係にどんどん枝を伸ばします。
気付けば庭の木の枝はボサボサになってしまいました。
荒れ果てた庭を前に途方に暮れていても問題が解決されるわけもなく、無知なままに庭木の枝を切り落としてみればあら不思議。
庭木は立ち所に弱っていくではありませんか。。。。
これは数多の失敗を重ねながら何とか庭木を枯らさない程度に剪定の基本を習得した主婦がお伝えする、庭木剪定のコツをまとめた基本の書です。
剪定は庭木にとって大切なお手入れ
植物は季節とともにその姿を変化させます。
春になれば花を咲かせ、新緑の葉は美しく、夏には木陰が強い日差しからリビングを守ってくれます。
そんな庭木もお手入れを怠っているといつの間にか枝が伸び放題になり、うっそうとしたジャングルのようになってしまいます。
適切なお手入れをサボると見た目が悪くなるだけでなく、枝の間に風が通らず木を痛めてしまうこともあります。
適度に枝を整える剪定は、庭木の健康を維持するためにも必要な作業なのです。
剪定を間違えると花が咲かない
しかし無暗に枝を切り落としてはいけません。
枝を切り落とすにはルールがあるのです。
私は剪定の基本を全然知らない頃、適当に枝を切り落としていたのですが全く花が咲かなくなったり、著しく木の元気がなくなったりとたくさんの失敗を経験しました。
本来、剪定は木の種類ごとに異なります。
木の特性を把握して剪定に挑む必要があるのですが、木ごとに剪定の方法を変えるなんて初心者には無理な芸当です。
枝の切り方には普遍的なコツがあって、そのコツは木の種類を問わない基本です。
まずは枝切りのコツを習得することを目標にしましょう。
剪定をする時の心構え
庭木の剪定をする際に一番大切なことは、剪定を上手に完成させようと意識し過ぎないことです。
基本的なスタンスは、大失敗をしなければ上出来とすること。
私はまだ剪定に不慣れな頃、誰が見ても上手と言って貰える剪定を意識していました。
それは心のどこかでご近所の目を意識していたからです。
庭木は常に他人さまに見られるので、出来上がりの外見には大変気を遣っていました。
ところが、上手に仕上げなければいけないと過度に意識し過ぎた結果、剪定が出来なくなってしまったのです。
庭木の枝にハサミを入れるのが怖くなってしまいました。
知らず知らずのうちに剪定にプレッシャーを感じていたのですね。
そんなことが切っ掛けとなって、剪定するときの心構えを変えました。
剪定はご近所の評価のためにするのではなくて、庭木の健康のために行うことなのです。
大切なことは庭木を弱らせてしまうような間違った枝切りをしないこと。
剪定作業では大失敗をしないことを一番の目標にしたのです。
庭木剪定の基本
初心者が庭木の剪定をする際に絶対に掴みたいコツは次の三点です。
- 枝の切り口は綺麗に切る
- 太い枝は切らない
- 剪定に適した時期に切る
この三つのコツを掴むと剪定後の庭木の様子が全然違ってきます。
まずはこの三つのコツをしっかり理解しましょう。
枝の切り口は綺麗に切る
雑に枝を切ってしまうと切り口が裂けてしまうことがあります。
切り口が裂けてしまうような切り方はダメな剪定の典型例。
枝の切り口が汚いと塞がりが悪く、木全体の健康に悪影響を及ぼします。
切り口を綺麗に切るためには雑にハサミを入れないことが大切です。
例えば枝の太さを見誤って、剪定鋏では切れないような太さの枝を無理やり切ると切り口を痛めてしまいます。
このような場合は剪定ノコギリで切らなければなりません。
剪定ハサミから剪定ノコギリに持ち替える手間を省いて手抜きをすると枝が裂けてしまうのです。
また長い枝はしっかり手で押さえて切ること。
この様なちょっとした手間を惜しまない簡単なことが剪定のコツなのです。
太い枝は切らない
枝の直径が5センチ以上になる様な太い枝は切らないようにしましょう。
太い枝の剪定は初心者は手を出さないのが鉄則。大体悪い結果になってしまいます。
太い枝を落とすと木の形が大きく変わりますが、その枝を切り落とした後の樹形をちゃんとイメージできますか?
私は出来ませんでした。
太い枝を切った後は多くの場合後悔します。
また太い枝を落とすということは木にとっては大けがをするのと同じことです。
切り口が大きく露出されてしまい雑菌が入り込む可能性が高まります。
このケースはしっかりとケアをしないと翌年以降、木の元気が全くなくなってしまうことがあるので、不慣れなうちは太い枝を落とす剪定は控えましょう。
お隣の敷地に伸びてしまうようにどうしても切り落とさなければならないときもあるでしょう。
剪定の切り口が大きい場合は「癒合剤(ユゴウザイ)」を切り口に塗布して木を保護することが出来ます。
ですが、初心者はなるべく太い枝には手を出さないことが肝要です。
剪定に適した時期に切る
剪定の時期は木によって異なります。
本来は木の種類ごとに剪定の時期や手法を覚えておくことがベストなのですが、全てを覚えるなんて無理なので基本だけを抑えましょう。
この基本を知っているだけで庭木の剪定が随分上手になります。
- 落葉樹
- 落葉樹の剪定時期は冬です。12月から2月の間に剪定を済ませましょう。この時期は葉が落ちていて枝が露出しているので剪定がしやすいメリットがあります。
- 常緑樹
- 常緑樹の剪定は春から夏に行うのが基本です。春先になると新しい芽が伸び始めますが、この頃が一つのタイミングです。そして枝の成長具合を見ながら6月後半から7月頃にもう一度剪定をするようにします。
- 花木
- 花木の剪定はやや難易度が高く、剪定時期を間違えると花が咲かなくなってしまいます。本当は木の種類によって剪定時期を調整するべきなのですが、基本は花が咲き終わった直後に剪定を行うことです。花が咲き終わった直後の剪定であれば間違いが少なく済みます。
切る枝の選び方
実際に枝を切るときに迷うのはいったいどの枝を落とせばいいのかということです。
庭木を目の前にしてみると想像以上に多くの枝があり、どの枝を剪定すべきなのか皆目見当が付きません。
そんなときでも、剪定の基本的なコツを知っていれば最低限のお手入れは出来ます。
剪定のコツは間引き
剪定をするときに基本となるコツは「枝の間引き」です。
樹形をかっこよく仕立てようなどと無理なことを考えてはいけません。
初心者の剪定は現状維持が出来れば上出来です。
木の形を現状維持するためのコツは「間引き」を意識した剪定です。
不要な枝を間引くだけで庭木の剪定はとても上手に出来るのです。
間引く枝の見分け方
間引きのコツは不要な枝を切ること。
これだけを意識すればいいのでハードルは低いです。
ではどのような枝が不要な枝なのでしょうか?
木にとって不要な枝の見分け方をまとめます。
不要枝を見分けるだけで庭木の剪定がグッと上手になります。
- 枯れ枝
- これは簡単、枯れた枝です。枯れている枝は何の躊躇もなく切り落としましょう。
- ひこばえ
- ひこばえとは木の根元から出ている枝です。これも見つけやすく迷うことなく切り落とせます。
- 下り枝
- 地面に向かって伸びている枝のことです。この下り枝だけを剪定しても木の印象はとても変わります。
- 絡み枝
- 他の枝に交錯しているような枝です。大きな枝から分岐して他の枝に干渉しているような枝は切り落とせます。
枝同士がこすれて木の皮が擦り向けているようになっている枝は迷わず落としましょう。 - 逆さ枝
- 枝の伸びる方向と逆側(木の幹側)に伸びる枝は切り落としましょう。
ここでは枯れ枝、ひこばえ、下り枝、絡み枝、逆さ枝の5種類だけを記載しましたが、これらの枝は初心者にも比較的見分けがつきやすい枝です。
まずはこれらの枝を剪定するだけでも木の様子は変わりますし、木の中に風通しが良くなると病気や害虫対策にもなります。
失敗が少ない間引きから剪定のコツを掴んでいきましょう。
剪定に必要な道具
庭木の剪定には道具が必要です。
道具の良し悪しは剪定の結果にも影響を及ぼします。
一見すると高く感じる剪定ハサミやノコギリですが、刃物は値段の差がはっきりでる商品です。
長く使うものですし、切れ味の良いハサミを使うと切り口が乱れず樹木の生育にも良いので、ある程度の品質の道具を揃えると心強いです。
剪定はコツさえ掴めば難しくない
おかげさまで最近は「上手に剪定しましたね。」と言われるようになってきました。
剪定に関する知識が何もないときはたくさんの失敗をしましたが、ちょっとしたコツをつかんでしまえば庭木の剪定は誰でも出来るようになります。
庭木は上手にお手入れをすれば元気に育ち、梅や柚子や金柑もたくさんの収穫をもたらしてくれます。
剪定が出来るようになるとホームセンターなどの園芸コーナーで購入する植木にも幅が出来て多彩なお庭を楽しめるようになるでしょう。
主婦でも出来る剪定のコツをご紹介しましたが、私でさえそれなりに剪定が出来るようになりました。
庭木の剪定は経験を重ねるほど上手になります。
ちょっとしたコツを掴んで毎日のガーデニング生活がより楽しいものになれば幸いです。
単行本(ソフトカバー): 160ページ
出版社: 講談社 (2016/10/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 406220262X
ISBN-13: 978-4062202626
発売日: 2016/10/26
梱包サイズ: 21 x 14.8 x 1.4 cm